バッハ;無伴奏チェロ組曲~ビルスマ(1979年録音)

 バッハの無伴奏チェロ組曲はチェリストにとって特別な扱われ方をせれています。
いわば旧約聖書ともいわれ神格化されているようです。
練習曲のひとつのように扱われていた無伴奏チェロ組曲をカザルスが初めて深い音楽性を持つものとして世にだした経緯があるからでしょう。
 後に続いたチェロ奏者はみんなどこかしらカザルスの影響を受けています。

このビルスマがバロックチェロで弾いた録音はこのアンチテーゼともいえる演奏です。
わたしもそうでしたが、おそらく多くの人がこの録音ではじめてバロックチェロの音を聞いたのではないでしょうか。
バロックの弦楽器は今の楽器より駒が低く弦はガット弦で聴力の弱い弦で響きの豊かな音です。チェロは楽器を支えるエンドピンという棒がなく、ひざにはさんで楽器を支えています。
楽器はゴフリラーですからカザルスの使用していたのと同じですが、現代のチェロやヴァイオリンはそれを後世にネックを変えて作り変えています。



ビルスマの演奏は淡々流れていてしかし一音一音の発音をはっきりとしたあと楽器の響きに任せるような弾き方をします。
 ビブラートは控えめです。全くかかっていないわけではなくて時々細かいビブラートをかけています。
 ビルスマはこの演奏を歌うのではなく語るのだといっています。音楽で語るとは具体的どういうことなのか良くわからない私には、この演奏が語る演奏なのか分かりませんが、それまでの演奏と違って「大上段に構えない」演奏であることはいえると思います。

バロックは今よりもピッチが低めだったそうですが、この演奏は現代よりも全音低いです。
つまり第1番のト長調はヘ長調に聞こえます。

今第4番を聴いています。プレリュードのアルペジオ現代の楽譜ではスラーがついていますが、この演奏では一音一音区切るデタッシュで弾いています。あたかも鍵盤楽器の曲のようです。アンナ・マグダレーナ・バッハの自筆譜にはスラーはついていません。
テンポは大きく揺らしたりしないものの、独特の畳み掛けるような弾き方がみられます。
 細かい音符でカデンツアのように急に早くなったりして、彼なりの自由な弾き方を感じます。
サラバンドは通常ゆっくりとたっぷりと歌われたりしますが、この演奏はあっさりと早めです。3拍子の舞曲の雰囲気をもっていることが分かります。

20年位前文化会館の小ホールでビルスマの無伴奏を聞きました。
このCDで初めて聴いた時はガット弦はずいぶんざらざらした音でちっともいい音だと思いませんでしたが、生で聞いた音はとても自然でいい響きを聞いていいるという感じでした。

その時の感想で一番記憶に残っているのが第6番です。これはチェロピッコロという小さめのチェロで普通のチェロの弦が4本のところこれは5本あります。
実は第6番だけはバッハは五弦の楽器を指定してかかれています。
これを4弦の普通のチェロで弾くと結構ハイポジションでビルトゥオーゾ的な曲になりやすいのですが、チェロピッコロで聞くと実に自然で軽やかです。

なおビルスマは、後年現代仕様ののストラディバリウスで無伴奏の再録音をおこなっています。


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